どうも初めまして、ナレーターの片岡晟です。
日本はもちろん世界各国に日本語ナレーションを輸出していまして
「日本語ナレーションで世界を獲る」をテーマにナレーターをやってます。
他にもナレーターのコンサルティングやコーチング、
日本中のナレーターのコミュニティ、ナレーターブランディング会議の運営もしております。
今日は「『ダメ元』には価値がない。実力不足を正しく恥じよう」
というお話をしようと思います。
主張的セルフハンディキャッピング
ナレーターをやっていると、クライアントの方に
「こんなナレーターさんいませんか?」
とナレーターの紹介を求められることがあります。
そんなときにいつも僕は
「これこれこんな案件があるんですが対応してくださる方いらっしゃいますかー」
と広く募集をかけるんですが、結構いろんな人が応募してくれるんです。
みなさんプロフェッショナルなので応募するときの文章も非常に端的でシンプルで
僕としても非常に対応しやすくて助かっているんですが、
たまに初心者の方でこう一言添えてくる方がいます。
「ダメ元ですが応募します」
これ、絶対言っちゃダメなワードなんですよね。
なぜダメなのか。まず、これを言ってしまう側の心理を分析しようと思います。
「ダメ元ですが」「実力不足ですが」といってしまうのは大体の場合において
もし選ばれなかったとしても「ダメ元だったから」「実力が足りなかったから」しょうがない。
「仕方がないから」と自分を落選したときの心理的ダメージから守るためなんですね。
これは何もナレーターに限ったことではなくてクリエイターのコンペとか全般に言えることだと思います。
これを心理学的には「主張的セルフハンディキャッピング」と言ったりするんですが
例えば学校の試験前に「全然勉強してないわー」とか「体調悪いんだよねー」とか
予め言っておいて、失敗したときに周りの自分への評価を下げないようにする行為のことです。
これは意識的にいうのはもちろん、こういったことを意図するつもりなく無意識的に言ってしまうことも多くて
「ダメ元ですが」というのはまさにこれですね。
似た言葉で「獲得的セルフハンディキャッピング」というのもあって
締め切りが迫っていたり最優先だったりする作業の前にわざわざそれを邪魔してしまうことを始める行為で
試験前日に漫画やゲームをしてしまったり部屋の掃除を始めてしまったりするのが典型例で
「この現象に誰か名前つけてー」
なんていう声をたまに見かけますがお答えします。
「獲得的セルフハンディキャッピング」です。
プロの自己保身への嗅覚は凄まじい。『ダメ元』は反価値。
まあそれはまた別の話で、
総じて「セルフハンディキャッピング」というのは
「自らの失敗を外的要因に求めて、成功したときは自分の内的要因に求める」
つまり「成功したら私すごい。失敗しても、まあ自分のせいじゃないししょうがないっしょ」
という論理なんですね。
これってめちゃくちゃ恐ろしくて、
「失敗したときの要因分析を放棄している」のでいつまで経っても自分が成長することがないんです。
ダメ元だったから選ばれなくても仕方がない。実力不足だったから落ちたのはしょうがない。
成長って失敗を原資にして次失敗しないようにするにはどうしたらいいかを分析して積み重ねていくことなので
この思考ってほんと危険思想なんです。
自分に対しての悪影響は今あげたようなことですが、
周りへの悪影響っていうのももちろんあって、
まずプロと呼ばれるような人たちはこの「ダメ元ですが」という言葉にすくんだ、その人の言い訳する性格に対する嗅覚が凄まじいです。
「この人は自己保身で精一杯であまり信頼できないな」という烙印を秒で押されます。「ダメ元ですが」の「ダ」で押されます。
「そんなダメ元で出してきたものを受け取れというのか。これ、趣味じゃなくて仕事なんだけど」
となるし、
「ダメ元なんですが」と言われて「あ、そ、そうですか」と言う他なく反応に困る言葉なのでシンプルに優しくない言葉です。
今までの話を聞いてわかると思いますが、「ダメ元」には価値がない。
むしろ価値とは対極にあるもの、「反価値」なんです。
ジメジメよりカラッと。実力不足を正しく恥じよう。
プロのプロたる所以は、いつも自分の実力に自信を持って「こんなのはどうですか?」と自分を提示してくることだし、そこにジメジメした卑下などいらないんです。
発注側もいつだって向こうからは自信満々に提示してきて欲しいし、そんなカラッとした対応がプロとして信頼される所以です。
ウェットではなくドライ。ジメジメよりカラッと。マジでこれプロの必須条件です。
もちろん自分で実力不足を感じる時もあるでしょうし、
「自分が実力不足だ」と感じられることも大事な感覚です。
でもそこで言い訳がましく実力不足を主張するんじゃなくて、
まずはカラッとした文章で言い訳を挟まず提示する。
実力不足なものしか出せないことを自分でちゃんと恥じる。
それから、その恥をエネルギーにしてもっとプロとしての実力を養うにはどうしたらいいかを考える。
そこで初めてプロへの成長の種が芽吹きます。
同じ実力不足でも、
ウェットな文章(「ダメ元ですが…」)と
カラッとした文章(「よろしくお願いします!」)
では間違いなく「カラッとした文章」の方が気持ちがいいです。
かなり厳しいことをたくさん言いましたが、せっかく同じ挑戦をするのなら
自分のブランドも上がるし相手にも気持ちよく受け取ってもらえるようなプロのやりとりの方が
お互いウィンウィンだし、これから挑戦を続ける方達にも正しい方法でどんどん挑戦していってほしいのです。
めちゃくちゃ応援しています。好きです。頑張ってください。
というわけで
「『ダメ元』には価値がない。実力不足を正しく恥じよう」というテーマでお話ししました。
それではまた。
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